備忘録 〜読書と映画と、時々推しと〜

NEWS・作家 加藤シゲアキくんのファンです

「夢を与える」綿矢りささん

wowowでの連続ドラマ化、そして映画化もされています。

夕子は3歳でCM契約をして、その後は子役として引っ張りだこの生活を続ける日々。その影の立役者として存在し続ける母。母幹子と微妙な関係を続けながらも、夕子の父として夕子を優しく見守る父トーマ。

文庫本にして300ページほどある長編。夕子の生涯と言えそうな物語ではあるけれど、18歳までの実はまだ幼く、まだ若い時期までを描いた物語でした。

蹴りたい背中とは違う角度から

蹴りたい背中は、それこそ高校生の生活を中心として描かれているけれども、この作品は高校生までを描いています。蹴りたい背中が平凡な女子高生だとしたら、本作の夕子は芸能人として全国に名を知らしめている人物です。

心身のバランスが微妙に歪になる

小さい頃から大人に囲まれた生活を送りすぎたせいで、周囲の同年代の友達よりも大人びている夕子です。しかし、それはある意味守られすぎていて、同年代同士のいざこざを経験せずに来てしまい、実は内面では幼さが目立ちます。ギャルズクラブのパーティーに自ら参加して、気持ちが追いつかずに一人駆け出してしまうところや、正晃を信頼し切っているところ。心身の成長バランスが取れていないと感じてしまいます。

この微妙な感じを繊細に描かれていると感じました。