備忘録 〜読書と映画と、時々推しと〜

NEWS・作家 加藤シゲアキくんのファンです

「不自由な絆」朝比奈あすかさん

不自由な絆とは

リラと洋美は同じ中学高校の同級生でした。つるむような仲ではなかったのですが、同じ年齢の子どもをもち、同じ街に住んでいたので、乳幼児検診で偶然の再開を遂げます。

洋美の子どもの敏光は小さい時から癇癪が激しく、文面からも育児ノイローゼ状態に洋美はなっていました。一方リラの子ども光鳥はおっとりして静かな子どもでした。そんな出会いから始まり、同じ幼稚園、同じ小学校と進み。いじめた、いじめられたの問題が生じていくことで子どもや母親の関係が崩れていきます。

なぜ母親はここまでこじれるのか考えてみた

我が子という母親ではコントロール仕切れない存在の行動によって、その母親たちの運命がコントロールされていくということです。

ある時自分の子どもが誰かをいじめていると知らされます。事の事態も知らないし、そこにいた先生は何をしていたの疑問も残るなか、周囲の子どもの証言や当事者の子どもの証言を元に親には伝えられます。理由も本当のこともわからないままに、相手の家庭に謝罪へ行ったり、家庭が責められていることへの怒りの矛先を当事者の子どもに向けたりと、つまりは八方塞がりになる様子がよく観て取れます。

ママ友という組織

一度、ママ友という組織に入ることで、憶測が憶測を呼び語り合うことで単なる憶測がどんどん事実かのように話し合われていく。

ママ友内では事実となり、強いては相手を貶める行動まで起こさせるという実際にもあり得るだろう状況が起こります。

だからママは途中で気付くんですよね。もうつるむのは止めようと。自分のコントロールできない状況にいる子どものことで繋がっているママ友の輪。そこに真実は不透明すぎるんです。

人質のような子ども

洋美は元々、間違っていることは、「間違っている」とはっきり言える子でした。子育てをしていくうちに、相手の心理を読んで、打ち明けてみたり、黙ってみたりとやたらと心理戦を行うようになっています。それは自分の言動で、子どもの人生が左右されてしまう恐れがあると思っているからです。学校などに子どもを送る親は、まるで子どもを人質に取られているような感覚なのではないかと想像されます。

理解できることは、子どもの成長というのは、親の囚われをゆっくりと解決してくれます。親は大人のままだけれど、子どもは成長しますよね。