「染、色」岸田國士戯曲賞ノミネート について
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こんにちは。
昨日の話です。1月31日に不意をつかれる発表がありました。
加藤シゲアキ君の脚本で2021年に舞台上演された「染、色」が第66回岸田國士戯曲賞(白水社主催)にノミネートされました。
岸田國士戯曲賞は、劇作家・岸田國士の遺志を顕彰すべく、株式会社白水社が主催する戯曲賞。
本賞は、演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年に新劇戯曲賞として設置され、1961年には「新劇」岸田戯曲賞、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され今日に至る。
新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称される。
選考対象は、原則として1年間に雑誌発表または単行本にて活字化された作品とする。ただし、画期的な上演成果を示したものに限って、選考委員等の推薦を受ければ、生原稿・台本の形であっても、例外的に選考の対象とすることがある。
正式名称は「岸田國士戯曲賞」(きしだくにおぎきょくしょう)である。
受賞者には、正賞・時計、副賞・賞金が贈られる。
演劇界の芥川賞と言う言葉通りに劇作家の登竜門と言う名高い賞とのことです。
シゲアキ君はこの「染、色」を元々舞台で演じられることを想定して「傘を持たない蟻たちは」と言う短編集の一つとして書かれています。
本来は2020年の6月に公演予定でしたが、新型コロナウイルスによる影響で、延期になり2021年の5月開演しました。シゲアキ君は、ステイホーム中にこの作品を見直し書き換える作業などに取り組んでいたようです。その結果として、今回のノミネートに繋がっていると思います。
作品について
2020年3月に「オルタネート」が吉川英治文学新人賞を受賞しました。このお話も高校生活を舞台にした、青春群像劇でした。そしてこの「染、色」も大学生と言う青年期の内面の悩みや葛藤を表現した作品です。過去の「チェベローズで待っている」にしても、多少登場人物の年齢は違えど、思春期・青年期の戸惑いを多く表現していました。このような、空想や夢想に惑わされながらも、なんとか地に足をつけようともがく人物の表現が美事だと思っています。
舞台について
私もこの「染、色」を鑑賞することができました。
過去に読んでいた「染色」は読み返さずに、心に残ったままで向かいました。なんとなくの記憶を頼りに、一体どう演じていくのかという疑問も抱いていました。
以前ブログでも書いた三浦透子さんが美優を演じました。舞台上では、躍動感があって書籍の美優とはまた違う印象を抱きました。話の道筋は多少変わり、この舞台ならではの結末を迎えます。このような流れは、まさに舞台を想定したものであって、観た後に、何かフッと彼女の影が心の残る、そんな舞台でした。
選考会は2月28日とのことです。