「贖罪」を読んで
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湊かなえさんに現在ハマっています。
2012年にWOWOWで黒沢清監督によりドラマ化されました。
空気のきれいな町で起きた殺人事件から
都会から引っ越してきた、エミリちゃんが何者かによって殺害されました。一緒に遊んでいた、紗英と真紀と晶子と由佳は、まだ小学4年生でした。警戒心が薄い田舎町の子どもたち。エミリちゃんが見知らぬ人に手伝いを頼まれても、それが素晴らしいことのように感じてバレーボールをして待っていたのです。
4人とそして、エミリの母である麻子の事件のその後の人生と、その前の人生を描いています。それぞれがそれぞれのキャラクターにより抱える罪の持ち方や反応が違います。それは当たり前です。幼い時に与えられた罪の意識が人生に与える影響を、繊細に描いていたことにとても関心が持てました。
麻子の言葉
わたしはあんたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。
麻子は振り返れば、それは感情に任せた、子どもの死を忘れさせないために吐いたようなセリフだったけれども、小学4年で殺人現場を目の当たりにして中学1年でこのセリフを吐かれた子どもには相当心の傷は深かったようです。
彼女たちが大きくなってから、想像もしていない何かに4人が呪われたように事件に巻き込まれていきます。その時はすでに麻子も正気な状態で、自分の人生を思い返す余力もできていました。
湊かなえさん特有の一人称
複数人の登場人物が、交互に一人称で事件以前の自分の生い立ちと、事件の時の自分と、そして事件後の人生を振り返っています。これらの内容をそれぞれの形で麻子が全て耳にすることとなるのですが、これこそがまるで麻子に取っては予想外であり、そして自分が犯した罪になるのではないかと感じます。
想像して見るだけで、恐ろしい。実はほぼ関係がないと思われるような4人。ただそこにいただけの4人が、その後の若い人生が相当の傷を背負って過ごし、中学生で麻子に言い放たれた言葉が十字架となりずっと背負い続けて殺人まで犯してしまう。それを一つ一つ目にして耳にする麻子。
贖罪の行くへは
最終的に、4人の贖罪は麻子に集約する。そんな印象を受けました。この話はあまりに悲惨でかつ事が大きい。しかし、私たち日常でも言えることではないかと思います。イライラした時に、その場の感情でよく吟味せずに言い放ってしまう何気ない言葉。どちらかといえばそれは、大人から子どもによく向かわれがちだと思います。「良かれと思って」のように。
感情任せの言葉にはやはり注意が必要です。